Interview

わたしたちの想い——森羅万象 天山蜂蜜のはじまり

※本記事は、2016年にシンガポールでご活躍のH SEEDS・Harumiさんにしていただいたインタビューを、代表・竹邨の発言を中心に再構成したものです。

「森羅万象 天山蜂蜜」は、どんな想いから始まったのか。はちみつが苦手だったという代表・竹邨が、天山の蜜と出逢い、この仕事を始めるまでの物語です。

「奇跡のリンゴ」との出会いから、食が変わった

——どんな思いから、ハチミツの森羅万象を始めたのでしょうか?

ボクの食についての思いから話しますね。以前、映画のプロデュースをしていたときに、「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんとお仕事をご一緒させていただいたんです。自然栽培というお仕事の「美学」に魅了されました。それなのに自分の食を気にしていないっていうのは違うなと思って、食材を全て変えたんですね。

まずは塩、醤油、味噌といった調味料からはじめて、全てを変えました。それらは近所のスーパーには売っていないので、少し離れたオーガニックのお店に行くんです。お店にはいろいろな醤油があって、中には一桁値段の違うものもある。お店の人に「これとこれは、どこが違うんですか?」って聞くわけです。その説明をひとつひとつ聞くと、なるほどと思って、より良いものを買う。そういう生活スタイルになっていきました。

それからは、いつでもどこに行っても「これは凄い!」と思う食材を探しています。映画の仕事で地方に行くたびに、そこで出会った食材をお土産として東京の友人たちに持ち帰っていたんですよ。当時はまだオーガニックが今ほど知られていない頃でしたから、周りの友人にはけっこうからかわれました。「はい、はい、またオーガニックね(笑)」って。そのくせ、食べさせてみるとみんな「美味しい」って言うんです。

代表・竹邨

作り手の顔が見える食卓

——良きものとの出会いを、どのように感じていましたか?

ボクは直接、作り手の方と出会うことが多くて。なのでそれをいただく時は、その方が目の前にいるんですよね(笑)。「食べていきな」って感じで。それで思ったのが、たとえば同じトマトを食べるとしても、その人の人柄や人間性、雰囲気を含めて食べているんだなって。

素晴らしい農家さんたちと知り合うと、彼らと自分の友人を繋ぎたいって思うんですよ。そしたらまた畑にお手伝いに行きたくなる。お手伝いに行ったら「ありがとう」ってお野菜をいただく。そうやってだんだん自分の食卓が、人との交わりと一緒に豊かになっていく気がして。自分の食卓を見ると、どれも◯◯さんの食材だってわかるんです。全部知り合いの人が作った野菜。そしてまた「ああ、これあの人に食べさせてあげたいな」ってなるんです。

顔が見えるのが「楽しい!」と思いました。

「紹介するために、人と出逢ってきた」

こうした考え方をするようになったきっかけは、映画の仕事なんです。あれは広告宣伝をしない、口コミで広げる映画だったので、チラシを人づてに配布していました。自分の知っている人には全部配ってしまって、もう限界だと思った時に、ある方が「じゃあ、◯◯さんを紹介するね」と言ってくださって。

「なぜご紹介してくださるのですか?」と尋ねると、その方はこう言ったんです。「私は、いま君たちに紹介するために、これまで人と出逢って来た」——もの凄く感動しましたね。ボクの中で「これがやりたいことだ!」と思ったのです。

はちみつが苦手だったボクが、この蜜と出逢った

——ハチミツとは、どのような出逢いだったのでしょうか?

他の食材と同じで、ハチミツも作り手との出会いが先でした。石川会長を紹介していただいたんです。ボクは正直、ハチミツは苦手だったんですけど、はじめてこのハチミツをいただいた時、「あっ!」なんか違うって思ったんです。

大自然で、農業もしていないような場所で採れたハチミツだと、後で知りました。だからハチミツが苦手なボクでも食べられたんだと感じました。それで確信したんです。やっぱり自然なものは違うんだって。

森羅万象 天山蜂蜜と天山花粉

それまで会長はご自身のために作ってこられたのですが、誰か広めてくれる人がいないかと思っていらして。ボクはこのハチミツに惚れ込んで、こんなに良いものならなおのこと、友人に自信をもって食べさせたいと思って。「ボクがやります」と。それが出発点だったんです。

ただ、会長が唯一求めていたのは、理解して食べてくださる方でした。大量に販売することよりも、ちゃんと理解してもらったうえでお渡ししたい。その姿勢は、会長がハチミツを手掛ける前から続けてこられたビジネススタイルと何ら変わらないものでした。

その時、これだと思いました。ボクがやりたいビジネスは。ぼんやりと持っていたものを、会長は既に形にされていたんです。その基礎となる感覚は、すでに共有できていると思いました。だから会長も、ボクたちを認めて、大事なハチミツを預けてくれたのだと自負しています。

一本一本に、手書きの手紙を添えて

——お客様にお手紙を送っていらっしゃるのですか?

毎回、ご購入いただいた方へ発送の時に、お手紙を同封しているんです。ボクたちのやり方は、一般的な薄利多売のマーケティングとは異なります。数に限りがあるハチミツなので、一本一本を大切にしたい。それは手に取ってくださるお客様に対しても同じ思いです。

できることなら直接会って手渡ししたいんです、本当は。でもそれは難しい。だから今できる方法として、せめてお手紙を添えさせてもらっているんです。手書きで、一人ひとりに。一人ひとり状況が違うから、話題もみんな違うんです(笑)。

お客様と話す代表・竹邨

「お手紙ありがとう」と言っていただけると、自分の悩みなんかぶっ飛びますね(笑)。まだ顔を合わせたことがなくて、声しか知らなくて、物理的な距離があって、もしかしたら一生会えないかもしれない。それでも喜んでもらえている状況に自分が関われる。沢山関わりたいですね。

「美・利・善」——ボクたちの価値のものさし

ボクは、価値には三つの種類があると考えるんです。

一つ目は、個人的で瞬間的な「美」の価値。あるものを見て美しいと感じたり、綺麗だなと思ったり。二つ目は、個人的だけどある程度継続性のある「利」の価値。物質的な価値や、教養のような知的なものも含みます。そして最後に、社会的な「善」の価値。自分よりも、自分以外の人や社会のための価値です。

「善」ばかり追い求めていては個人に限界がくる。とはいえ「美」や「利」のみを追いかければ、巡りめぐって結局は個人にまずい影響を与える気がしてならないんですよ。こうした視点で物事の価値を見ようとすると、ボクにとっての「美」は同時に「善」でなければならないと思うようになったんです。

「善」の価値があることを前提に、それが継続可能な「利」をもたらすこと。そうした「善」の循環、「利」の循環を含んでいると感じられないものには、ボクは「美」を見出せない。ワクワクしないんですよ。

天山の草原

納得できる生き方を

自分が良いと思ったものを、今まで通り伝えていきたい。そのためには自分自身の実力を高めていかないと、感じることも感じられないし、見えるものも見えてこない。限られた時間で最高の時間を過ごしていくために、勉強し、行動し、体験をしていく。それが人の個性を作っていくと思います。

仮に99%の人が「そうは言っても、無理でしょう」と言うようなことでも、「あなたが言うなら、やってみようか」「あなたたちと一緒なら、やれる気がする」——そんな反応を示してくれる人を、1%、2%と増やしていく。ポジティブな影響を与えて、与えられて、そういう生き方をしていきたいと思いますね。

自分自身が納得できる生き方をボクはしていきたい。皆がそれぞれの「納得」を掴むと、大きなことを言うようですが、世界は変わっていくと確信しているんです。

聞き手: H SEEDS Harumiさん(2016年10月)。石川会長との出会いから続く物語は「天山蜂蜜の物語」でもご紹介しています。


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